2011年10月19日水曜日

289 TPPと放射能

政府では、TPP(Trans Pacific Partnership)、つまり、環太平洋戦略的経済連携協定が、議論されています。貿易関税を撤廃して、自由な取引ができるようにし、相互の経済活性化をしようとするものなのですが、今、日本では問題があります。
農作物、工業製品の輸出においては、カナダと米国を除いて、放射性物質の量に関する証明が必要です。西日本では、放射性物質がはいっていないことが確認されている農作物でも、東日本のものだといらない、あるいは、1ベクレル以下の証明書が必要ということがおこっているのです。このために、大きな取引口を失ってしまった、東日本の農家があります。国内の流通には、もちろん関税はありませんが、放射性物質によって、流通障害が現れている感じです。貿易においては、工業製品にも放射性物質についての証明を要求している国々が多い中、このTPPは、どのように作用するかを、よく考える必要があると思います。外国から見ると、日本というくくりの中での整理をするのだと思います。つまり、東日本で起こっている原発からの放射性物質問題は、西日本の人たちにとっても、日本からのものという考えにおいて、決して対岸の火事ではすまされません。国は、どのような検査体制を構築して、この問題を解決しようとしているのかが見えないのは、大きな不安を感じざるを得ないのではないでしょうか。放射線の検査、特に低い放射線量を測るためには、時間とコストがかかります。このことが、見えない関税となって、日本の貿易力を弱めることにつながらないことを願うばかりです。
放射性物質に関する問題に関連して、もう少し、情報を収集し、時間をいただいて、議論を重ねてもいいのではと思います。日本も、ベラルーシとか輸入物については、チェルノブイリ事故後25年経過した今でも、放射性物質の検査と証明を要求し続けているという事実からも、25年以上の検査体制を構築することが必要なのだと思います。