2011年7月14日木曜日

257 食品中の放射能ー実効線量の生活利用ー

福島の原発事故以降、シーベルトという単位をよく耳にするようになりました。このシーベルトは、放射線(アルファ、ベータ、ガンマ、中性子、陽子線)の人体に与える影響がそれぞれ異なるので、同じ尺度の中で評価するためにつかう係数(放射線荷重係数)をかけて、等価線量として表現するときに用いられます。さらに、私達の体への影響を組織や器官ごとに考慮する係数(組織荷重係数)をかけ算して、実効線量として表します。この実効線量は、言い換えると、「放射線の人体への影響度合い」になります。内部被ばくを評価するときは、食べた時、吸い込んだときでそれぞれ少しずつ係数が違っています。年齢によっても係数が違っていて、子供への影響の程度は、基本的に高く評価されるようになっています。食品中の放射性物質の放射能濃度(ベクレル/kgとか、ベクレル/リットル)がわかると、換算係数を使って、放射線の影響度合い(シーベルト)を計算できます。放射性のセシウム137は、大人で、0.013マイクロシーベルト/ベクレルとなっています。乳児、幼児、少年、青年にもそれぞれ係数がありますが、青年と大人は同じです。この係数からいくと、乳児は、大人の約1.6倍、影響を受けやすいということがわかります。さて、南相馬の牛肉(3400ベクレル/kg)を200gいただいたときの影響を計算してみますと、実効線量8.8マイクロシーベルトとなります。因に、自然に食品からうける内部被ばくの平均は、410マイクロシーベルトです。そういえば、日本人の医療被ばくは、平均2300マイクロシーベルト/年だそうです。その他の自然放射線の被ばくとかを足し合わせると、日本人が、1年で受ける放射線は、だいたい3800マイクロシーベルトになるとのことです。因に、この3800マイクロシーベルトには、一般公衆の被ばく限度、1000マイクロシーベルト(1ミリシーベルト)は、入っていないとのことです。