2011年9月20日火曜日

280 放射性物質の検出限界について

放射線の計測をしていると、検出限界についてのお問い合わせがあります。通常、検出限界というと、その装置や分析法の能力をさすように思われがちなのですが、これは、計測環境と試料の前処理の影響を受けます。計測環境とは、バックグランドの放射線が高ければ、食品中の微弱な放射線は、バックグランドに埋もれ、評価できなくなってしまいます。このために、鉛の遮へいを使います。例えば、数ベクレルでの放射線を調べようとするときには、検体を何百倍、何千倍にも濃縮し、長い時間をかけて測定することが必要となります。一般に、計測における、検出限界は、標準偏差の3倍の値をとり、計測値が検出限界よりも十分に大きいときに有意であるという評価をします。そして、ガンマ線スペクルの生データを詳細にチェックし、分析対象となる放射性Csなどのピークが、全く観測されない状況において非検出という評価をします。わずかでもピークが観測される場合は、計測時間を長くし、計測値が評価できるように分析しなおします。