奥日光戦場ヶ原を流れる湯川で釣りをしていた時のことです。夕方、目の前をフワフワッと横切る影に気がつきました。まるで、妖精のようです。ちょうど、ピーターパンに出てくるティンカーベルのような感じです。日本で最も大きいカゲロウの仲間の、モンカゲロウです。大きなカゲロウの大きな透きとおった羽が、夕日に輝きながら飛んでいるのは、まさに森の妖精そのものです。ましてや、このモンカゲロウが羽化する季節は、おりしもズミというバラ科の花が満開の時です。可憐な真っ白なズミの花があまーい香りを漂わせながら咲き乱れる森の傍らを流れる湯川の流れから、フワフワッと舞い上がる乳白色のモンカゲロウをみていると、時の経つのを忘れてしまいそうになります。